ふたしか日記

ふざけたままでいてくれよ 文学フリマ東京40

12/20(金) ゆらぎが合うといいね

 

仕事終わり。新卒で入社した会社の1つ年上の先輩に誘われて、私が全然知らない先輩がいるらしき、飲み会に行く。

行きたいのか、行きたくないのか分からなかった。

 

先輩とは10年以上、なんとなくつながり続けている。帰り際、「こいつとはそんな仲良くないけど、なんとなくつながってるんすよ」と言っていた。

 

私はあなたのことを、勝手に兄のように思っているよ。片想いが過ぎる。

 

居酒屋に1時間くらい遅刻していくと、私のことを一切認知していない先輩の上司2名と、なんとなく認知してくれている上司1名がいた。

 

「あんな人いたね、辞めちゃったらしいよ」「あいつは今どこそこの副部長だよ」「人事異動の話って、どこのラインで止まってるんですか?」「あいつは酒癖が悪くて、左遷された」みたいな、怒涛の「企業トーク」を呆然としながら聞いていた。

 

勤めていたときも、こういう話になると呆然としていた。

人の昇進や降格や役職が、あまりにもどうでもいいから。

 

5名中3名が共通で認識している「懐かしい人」トークをしているとき、「懐かしくない、というか全然知らない人なんだが」という感覚で聞いている2名(私と、私の知らない上司)がいた。

 

知らない上司は、虚空を眺めて、たまに謎の笑みを浮かべることで間を持たせていた。全然食べたくもない干からびたきゅうりを食べて時間を潰す、などのテクニックも使っていた。

 

先輩と途中まで、2人で一緒に帰る。

これから、いかがわしい街に向かうとのこと。「全然行かないです」と答えたら、合流する友人に電話をかけて「俺の後輩さ。あー転職したやつ。今隣にいるんだけど。ノリ悪過ぎて、行かないって言ってんだけど笑」と言っていた。

 

後輩と、思ってくれている。目の前で、悪口を言ってくれている。嬉しかったな。

 

先輩はアルコールと性欲で、明るくなるしかないらしい。

私はあなたとは真逆みたいな人間だけど。

なんで好きなんだろう。

 

帰りの地下鉄の中で、「運命をひらく生き方ノート」という本を熟読しているサラリーマンがいた。

 

私が駅を降りるとき、サラリーマンはその本をぎゅっと抱きしめながら、疲れ果てた様子で、眠り込んでいた。愛してしまうから、やめてほしいな。

 

帰宅。ロボット掃除機がワイシャツを吸い込んで、グシャグシャにして停止していた。

 

adieuの『心を探している』を聞いている。

 

心を探している 生き返るような

心を探している 会いたいんだ

 

心は手に持っていた

初めて心を見た