ふたしか日記

ふざけたままでいてくれよ 文学フリマ東京40

1月6日(金)~1月8日(日)

1月6日(金)

 仕事。朝8時頃起床し、バナナと白湯。仕事帰りに立ち食い蕎麦屋で卵天ぷら蕎麦を食べる。

 帰宅後アマプラで「マイ・ブロークン・マリコ」を観る。親友を自死で亡くした主人公が「あんたの綺麗な記憶しか残らなくなるんだよ」と憤るシーンが心に刺さる。二村さんと燃え殻さんのラジオ「夜のまたたび」で葬式で感じる違和感について話していたこととリンク。葬式では故人は美化され、何もかもやり尽くした「聖人」かのように語られるが、本当は人に言えないような欲望や過去に行ったとんでもない過ちだってある。そんな複雑な個人の人生が「死」というファクターを通じて定型的な人生に勝手に修正され、いつの間にか「綺麗な人だった」という郷愁みたいなものに回収されていく。それってほんとに正しいんですかね。いや全然正しくないでしょ、と思う。もっとグシャっとした生身の記憶。それを忘れないようにしていくにはどうしたらいいんだろうか。

 深夜どうにもならない感情を抱えたままカップ麺に湯を注ぎ、ただ立ち上がっては消えていく湯気を見つめていた。

 

1月7日(土)

 朝9時頃起床し、バナナ。阿部和重「ブラック・チェンバー・ミュージック」を半分くらいまで読み進める。コンビニでおにぎりと野菜ジュースを買い、家で食す。

 ブックオフに行き、向田邦子「思い出トランプ」田島列島子供はわかってあげない」を救出。その後ジュンク堂に立ち寄り、今日マチ子「Essential わたしの#stayhome日記 2021-2022」を購入。

 ドトールで一休みした後、雑貨屋に行き小さな置き時計と宮崎夏次系「宮崎夏次系傑作選 なんかいつかの魔法」を購入。購入の連打により、ポケットモンスター売却益を失う。帰宅後、以前参列した友人の結婚式の内祝いカタログが届いていたので、嬉しいな嬉しいなと思いながら眺めていた。

 その後「宮崎夏次系傑作選 なんかいつかの魔法」を読み、毎話涙腺がガバガバになる。今までの作品のエッセンスを凝縮した一冊だった。宮崎夏次系が描く物語は魔法だ。その魔法は、苦しいなと思いながら、それでも何とか生きていて「社会やってらんないよ・・・」と感じているときには尚更響く。それでいて社会に適応できないことを絶対に「弱さ」で片付けない強い意志を感じる。そのバランス感覚と物語の発想。本当に一生追っていきたい作家さんだ。

 

1月8日(日)

 3時に目覚める。5時、明け切っていない空を眺めながらコンビニに行き、朝ごはんとしてナポリタンときゅうりの漬物を買う。ナポリタンはNetflix「First Love 初恋」で満島ひかりが美味しそうに食べていたから。満島ひかりナポリタンを食べていれば、食べるしかない。そういうものだ。

 映画は2本観た。1本目「ガンパウダー・ミルクシェイク」。B級映画を意識したB級映画といった感じで、アクションシーンは最高だったんだけれど、あまりにも表層的なフェミニズム描写には疑問符。2本目「私ときどきレッサーパンダ」。こちらは傑作。「抑圧されたまま生きてていいの?私は好きなことやってくよ!!」というラストのシンプルかつ普遍的なメッセージが明確と物語と結びついていたし、「抑圧のされ方」もそれぞれの登場人物毎に丁寧に描き出されていた。