日記

日々の記録

3/10(金)〜3/12(日)

3/10(金)

 朝10時頃起床。何を食べていたか覚えていない。夕方までU-NEXTでドラマ「サクセッション」3話まで観る。巨大メディア企業の家族内覇権争い。各々が栄誉をむしりとるぞという欲望を剥き出しにしていて清々しい。ハマりそうな予感がする。

 夕方、昔の職場の方々と飲み会。道中のJR内。頭髪の薄いサラリーマンの頭皮が半強制的に視界に入ってくるので、見つめざるをえなかった。

 待ち合わせ場所に到着。久しぶりに会う人たちの第一声は大体「生きててよかったー」。ほんとうにそれだけな気がする。居酒屋で四方山話。後輩のO君が家を建てて結婚していた。おめでたい。S君は相変わらず裏表がなく、仕事についての怒りを四方八方にぶちまけていた。怒りを全て適切な言葉で表出できることは才能だと思うし、そこは見習いたいなと思う。S君は自分の食べ物を勝手に食べていた。自分も勝手に食べた。互いが勝手にできる関係性の居心地の良さ。それは勝手ではないから。

 0時頃帰宅。アルコールでぼんやりとした頭の中、鳥羽和久「君が君の人生の主役になれ」を読み終える。タイトルがダイレクト過ぎるなと思って読むのを躊躇っていたが、千葉雅也や牟田都子が推薦コメント出しているのを見かけたので思い切って読んでみた。

 子供向けに書かれた新書だけど、完全に大人が読むべき哲学書だった。付箋を100箇所以上貼ってしまい、あらゆるフレーズが刺さってきた。自分の抱いている欲望は本当に自分の欲望なのか。それとも他者から要請されている欲望なのか。良い悪いの二項対立に騙されず、その間を揺れ動きながら自分なりの正解を探していくこと。そしてその正解もまた揺れ動いていくこと。千葉雅也の書評の一文はフロイト的。

 

ある規範が良いか悪いかよりも手前で、規範への適応によって何が抑圧されているのか、と問わなければならないのである。

 

 寝る間際に、岸井ゆきのさんの日本アカデミー賞の受賞スピーチを見て泣いた。

 

3/11(土)

 昼頃起床。「サクセッション」4話まで観る。「この物語をハッピーエンドに書き換えろ」というセリフがとても良かった。3月11日午後2時46分。黙祷をした。

 自分の欲望が広告に喚起されるのが嫌になり、フェイスブック、インスタ、Youtubeの登録チャンネルを全て消した。ついでにスマホ電子マネーやポイントアプリも全て消す。消したところで根付いた感覚はしばらくの間、自分の体内をうろついているだろう。それでもいつか、自分が信頼してる人から好きなものを伝えられて、それを見て楽しむという昔の感覚を取り戻せたらいいなと思う。

 

3/12(日)

 7時起床。朝食、バナナとココア。「村上春樹河合隼雄に会いにいく」を読み終える。互いの作品を読み返したい。

 昼頃にクリーニングに出していたスーツを取りに外出。歩いて行こうと思ったが、軽やかに自転車に乗る人を見かけ、自分も自転車に乗る。雪解けした水が排水溝に流れていく音に春を感じる。途中、図書館で一冊本を借りる。図書館内で何か落とした、と思ったらコートのボタンが取れていた。「こういう出来事に意味を見出せ」と河合隼雄なら言うだろうな、と思いながら「冬が終わった」ということにして仕立屋さんに持っていく。

 帰宅後、少し横になる。ネットで「哲学用語図鑑」と「諸説世界史研究」を買う。