日記

日々の記録

1/13(土)

 朝ご飯、バナナ。共通テスト一日目。

 仕事。昼ご飯、明太子グラタンと青汁。休憩中、同僚の付き合っている恋人の話を聞く。皿洗いの順番に妙に拘ったり、洗濯物を裏返しでそのままにしておくと怒るのがしんどいとのこと。何だかそういう生活の機微が愛おしく思うので、ニコニコしながら聞いてしまう。申し訳ない。皿洗いの順番って「その人が生活する中で見出した勝手な最適解」みたいな感じで、この世に正解なんてないけど、自分なりの正解を見つけ出している感じがして、とても好きだ。

 帰宅後にスーツのポケットに会社の鍵が入っていることに気づき、一瞬愕然とした後、すぐに「ラジオでも聞く時間にするか」と思い直し、会社へ向かう。最近はバッドムードなことも「〜したことにするか!」というマインドで生きている気がする。

 鍵を返した後、三省堂のカフェでブレンドコーヒー。阿部和重シンセミア』下巻を読み進める。相変わらず人間が抱く欲望ダダ漏れ状態の酷い登場人物しか出てこなくて、あまりにも酷いので笑う。

 三省堂のカフェでコーヒーを頼むと、サイフォンに入れたコーヒーを、目の前でカップに注いでくれる。その注いでいる姿をじっと見ていると店員さんが緊張してしまうのかな、と思いつつも見たい気持ちもある。店員さんとテーブルの間の中途半端な虚空を見つめていた。いつか真っ直ぐに見つめたい。(コーヒーカップを置くとき、カップがプルプル震えていたので、結局緊張させてしまったのかもしれない)

 Netflix坂元裕二『anone』が配信されているので、今日は2話を見て寝ようと思う。1話は昨日見た。小林聡美阿部サダヲが「名言って怖いですもんね」と瑞々しく名言を切っていく会話劇から始まる一連のシークエンスを見て、ああ坂元裕二の作品だ、と思う。

 

「止まない雨は無いとか」

「雨は止んでもまた降る。そっちの方がすっきりします」

 

 そういえば生方美久『いちばんすきな花』でもこういう名言怖いよね会話劇が繰り広げられていて、ここのオマージュだったのか、と思い返す。『いちばんすきな花』は世界に跋扈する名言的な言葉(=この世界で正しいとされていること)を真正面から受け止めると大火傷してしまう人たちが、どう連帯し、この世界と折り合いをつけて生きていくか、って物語だと受け止めていたけど。でも少し違うのかも。「名言的な世界観」を否定することで、自分たちの世界観を肯定すること。それは結局のところ、互いを傷つけ合うだけ。だからこそ美鳥の放つ、熟慮を重ねた結果の「どっちでもいいんじゃない?人それぞれだからね」というセリフが響く。

 夜々ちゃんが「見た目」だけで寄ってくる男たちに「うるせえな!」と言い放ったこと。紅葉が行きたくもない飲み会の会計係を毎回任せられていたけど、「頼むね、ありがとう」と他の人に初めてお願いできたこと。それぞれがこの世界との戦い方を見せて物語は終わる。でも、きっとその戦い方は物語が終わった後も変わり続けていく、ような気がする。一握りの、自分が信じた人たちに支えられながら、つっこまれながら、笑い合いながら。

 

ラストの美鳥のセリフ、たまに思い出していきたい。

 

勘違いされる人生だったけど。だからこそ、間違えないものがよく見えた。

勘違いがあったから見つかったもの。出会えた人もいる。

他人の価値観なんて理解できないけど、理解したいと思える他人と出会えることはある。

みんなみたいにみんなにならなくていい。みんなに嫌われている子なんていない。

誰かにとってはゴミになるものでも、他の誰かにとっては大切なものだったりする。

人はどうしたって変わっていくのに、なりたい自分にはいつまで経っても変われない。

他人に決めつけられた自分の価値からはどうしたって逃れられない。

みんなみたいになれなくて、上手に2人組も作れない。

居場所を探してうろうろしてた4人が出会って、3人がいてくれる場所が帰る場所になった。

いちばんすきな人は1人じゃなくて良い。